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日中新聞・人民日報 2011年6月24日版に関連記事が掲載されました。

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臨床に優位性のあるSS幹細胞治療(日本語翻訳版)

幹細胞治療は手術、薬物、放射線三大治療法以外に注目されている新しい治療方法のひとつと認められている。近年、様々な幹細胞治療が盛んになってきている。中でも特に注目されるのは、お臍周囲から摂取したわずか1gの皮下脂肪に含まれる脂肪由来幹細胞を培養により多量増殖させ、約5000万~3億個を自分のカラダに戻すという体性幹細胞治療法(Somatic Stem cell、以下に通称 “SS幹細胞治療法”)である。

いままで、幹細胞治療法としては、脊髄液や臍帯血から取った幹細胞を静脈点滴または患部に直接注入する治療法が主流であったが、いくつかの問題点が指摘されている。

1)脊髄から採った脊髄液の中に含まれる幹細胞の量は脂肪からと比べて約1/100と少なく効率的ではないとされている。また、治療効果を上げるため、多少無理に脊髄液を採る場合もあるが、脊髄液は脳圧を維持するという大事な役割を果たしているので、一定の量を保っていないと頭痛、嘔吐、痙攣などを引き起こす可能性がある。特に脊髄液を抽出、注入する過程で、感染症が発生するリスクも高い。

2)臍帯血から取った幹細胞は自分のものであれば拒絶反応は発生しないが、通常は他人の臍帯血を使用する場合が多く拒絶反応に厳重注意しなければならない。SS干細胞治療法は自分自身の幹細胞として、自家移植なので、拒絶反応を起こさないのは最大の特徴である。

また、万能細胞とも言われているiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究は、山中教授(京都大学)が有名であるが、研究費用が高く、臨床に応用するまで、まだまだ遠いと言われている。ES細胞はそのまま胎内にあればヒトとなる胚を壊して作るものであることから生命倫理的問題の解決が非常に難しいとされている。
そして、ESはiPSと同様に、目的細胞(例えば心筋細胞など)への分化に関連する遺伝子を操作しなければ、うまく誘導されないという今後の課題がある。どんな副作用が出るのか予測がつかない状態となっている。

現在、かつてヨハネ・パウロ2世、ボクシング王モハメド・アリ、鄧小平など大勢の著名人を悩ませる難病であるパーキンソン病患者は、日本国内に、約14万5千人となっている。(厚生労働省2005年度の患者調査結果)パーキンソン病に対し、SS幹細胞治療法による症状の改善が期待されている。

最近、老化や癌等になる最大の原因のひとつは、年をとるにつれて免疫細胞が自分自身を攻撃するためという新しい説が主流となっている。

SS幹細胞治療法は、免疫力をアップする効果があると認められているので、抗加齢、癌、糖尿病、腎不全などに有効だと推測されている。また、他の幹細胞治療法と比べて比較的に簡単で、効率良く、リスクも少ないSS幹細胞治療法は、臨床的に今もっとも応用力の高い治療法として注目されている。

医学博士 徐 弘民
2011年6月20日
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